中国市場への挑戦 ~STPの取組み~

 成長が著しい中国市場をターゲットとして、SPA体制の確立、ブランド戦略推進を目指
す上海縫製繊維協同組合(STP)の取組みについて紹介する。

1 STPの概要について

 上海に進出した日系アパレルメーカーの相互発展を目的として設立された互助組織で、各企業の生産設備の効率的運用や縫製設備メンテナンスの共同実施、営業活動のサポートを行う。設立は2001年10月で、現在の構成企業は約50社。
 現在上海近郊には日系アパレル企業が500~700社以上あると言われるが、数社の大手を除けば大多数が中小企業であり、またその形態は完全輸出型やOEM生産がほとんどであった。このSTPは急成長を続ける上海市場をターゲットとして、国内販売を念頭においた事業展開を始めた。その手始めとして4月12日に上海市虹梅路に独自ブランド製品の販売を手がける店舗を、そして20日には同泰康路にショールームを開設した。

2 各店舗の概要
(1)虹梅路店舗
①ロケーション 
 同店舗は日本人が多く居住する古北地区から南へ5キロ程に位置しており、昔ながらの住宅地区から都市開発が始まろうとしている地域。日本人住民はごく僅かと思われる。中層階級の居住地域であり商店街ではない。
②店舗内概要
 取扱品目は子供用品、子供服、婦人服&下着、紳士服(カジュアル)。中国では子供関連の出費が増加しているとされて久しいが、それを意識して子供用学習用品と子供服が最も目立つところに陳列されている。陳列方法は一般小売店に見られる効率重視的な方法ではなく、高級感を出すための工夫を感じさせる。
 子供用品、子供服は日本からの輸入品。(ブランド名は「3年2組」ただし中国製。)日本のものというイメージを損なわないため中国語タグは一切ない。価格は子供靴が日本円で4000円程度、子供用水着が5500円程度。このブランドの商品の販売価格は、価格タグに表示された日本円の元換算額の1.5倍程度となっており、当方としては日本で買うよりも割高感を感じた。
 他の取扱品目は全て中国産生地の日系アパレル縫製とのことで、価格設定は中層階級を意識したものと思われた。
 店舗面積は150㎡程度で、中国一般の小売店から比較すればかなり少ない3人の服務員体制。日本と中国のファッション雑誌も取り揃えてある。

(2)泰康路ショールーム
①ロケーション
 泰康路は上海の商業中心地である淮海路から南に3キロ程のところにあり、市中心部の一角で現在再開発が進行中。古い商店とモダンな店舗が混在している状態。再開発のコンセプトは「上海風芸術街」とのこと。居住者はやはり中層階級が大多数だが、商店街であり人通りは多い。ショールームのあるビルには、デザイナースタジオや洋風カフェバーなどが入居しており、新しくおしゃれな外観。
②店舗内概要
 生地と婦人服、婦人靴を展示。生地は日本から輸入している。婦人服は日本の生地を日系アパレルで縫製したもの。イージーオーダーで細かい注文にも対応可能。中国のメーカーとの商談も進み始めている模様。
 店舗面積は90㎡とこぢんまりとしているが、随所にセンスのよさを感じさせる配置。小規模な展示会場として貸し出すことも可能。

3 STP事務局長珠村氏のお話概要
・STPは当方が主となって作った組合であり、ボランティアで進出日系アパレル会社の発展のために活動している。悪用を防ぐため名簿等は作成していないが、各企業が相互に助け合えるよう連絡網も整備している。
・虹梅路店舗は上海だとどれくらいのものが売れるかを調べるために開設した、実験的意味合いが強いもの。ターゲットとしては日本人だったので、本当の意味での市場開拓への試みとは言えないかもしれない。これから泰康路ショールームを拠点として、日本の生地をSTPで縫製し、中国のメーカーに売り込んでいきたいと考えている。
・現在当方では「日本の生地を使った製品を入れてもいい」と考えている中国メーカーも押さえてあり、中国デザイナー協会有力者との人脈もあるので、本当に市場に受け入れられる商品をつくりだせる可能性が高い。ただし、価格面の調整は当方でも課題になっている。
・7月~12月位までが割と時間があるので、直接メーカーに製品を売り込みことができる。
・当方には上海でファッションショーなどを企画できる能力もあり、貿易会社も別途もつ計画もあって、中国市場開拓には勝手が良い組織だと自負している。
・福井の生地を中国で売ることに対し協力は惜しまない。福井の企業の皆様には、当方と一緒に取り組みませんか、と伝えてほしい。

 珠村氏略歴:
STP事務局長であり、上海妮姫時装有限公司(Nikki㈱の子会社)総経理。Nikki㈱は日本の水着生産シェア1位。上海妮姫は従業員約1000名。水着やゴルフウエア、ブルゾン等の縫製を手がける。上海在住11年。武生市出身。

4 まとめ
 珠村氏が「価格面の調整は課題の一つ」としているとおり、実際の国内市場開拓には種々の問題が発生すると思われるが、STPの取り組みと氏の提言は今後国内市場をターゲットと考える企業にとって、十分検討に値するものと思われる。

 STPに関するお問い合わせは、下記までお願いします。

福井県上海事務所  藤 井 昌 和
中国上海市延安西路2201号 上海国際貿易中心212室
TEL:021-62953322  FAX:021-62959922

福井県上海事務所 藤井昌和  2003年7月

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