知的財産権侵害について ~野尻眼鏡工業のケース

 中国経済の目覚しい成長とともに、県企業の中国への進出、事業展開が進展する中で、各企業の知的財産権が適切に保護されることは重要な条件といえる。しかし、中国のWTO加盟により各方面の整備がある程度進んだとはいえ、環境は未だ不十分な状態にあると言わざるを得ない。
1989年の中国進出以来、中国眼鏡市場で着実な成果を挙げてきた本県進出企業の野尻眼鏡工業が、今般知的財産権の侵害にあたる行為を受け、この度現地報道機関向けに記者発表を行った。以下にその発表概要をまとめる。


(日時)
2003年8月1日 14:00~ 上海市内ホテル



(参加機関)
《現地系報道》上海電視台、東方広播電台、新華社、解放日報、上海法制報、新民晩報等
《日系報道》NHK、東京中日新聞
《その他》上海眼鏡協会、上海小企業貿易発展服務センター、迅峰法律事務所、上海大学国際商務・法律研究センター

(内容)
去年年末から上海野尻側で、同社製品の偽物が上海眼鏡市場に出回っているのを発見しており、公安と工商局と合同で市中の各眼鏡市場において詳細な調査を行った。
その結果、同社製品偽物販売の主犯格を割り出し、その直接の証拠となる売り込み時の映像も押さえ、犯人グループの逮捕・拘留に至った。犯人グループの居住地および工場を捜索したところ、同社製品偽物の完成品多数、製造設備などが発見された。
逮捕・拘留されている3人のうち、2人は以前上海野尻に勤めていた者であった。
野尻眼鏡工業の代表者は会見で「公安等関係機関の協力により犯人グループを拘留することができたが、この事実を客観的かつ公正に報道いただくことで、今後の抑止力となることを願っている」「偽物づくり自体は致し方ない部分もあるかもしれないが、消費者をだますことは許せない」と語った。また、以前の従業員による犯行であったことで今後の中国への投資について影響があるかとの質問には「当社から輩出した人材のうちのほんの一部の人間の犯行ではあるが大変残念。しかし中国への投資理念については変えることを考えていない」とのことであった。
中国市場の開拓にあたって多くの日系企業が推進してきたブランド戦略において、この知的財産権保護問題はその根幹に関わるものである。しかし、中国は未だ環境整備の途上であることから、日常的に偽物・模倣品問題が発生しており、大手企業の中では「有名税のようなもの」(某日系大手企業幹部)というような心境さえ生まれてきた。また諸事情により証拠があっても訴訟に持ち込めず、泣き寝入りするしかない企業もあった。
進出企業の正当な利益、そして消費者である中国公民の利益を守るため、確固たる知的財産権保護環境が早急に整備されることが望まれる。今回の記者発表が、今後の環境整備促進の一助となることを切に願う。当方事務所も各関係機関と連携して引き続き県進出企業支援を行っていきたい。

福井県上海事務所  藤井 昌和
2003.8.3

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