上海における日本食販売について

 1 はじめに
上海市民1人あたりGDPは今年5000USDを超える見込みと、年々成長が著しい。その1600万人を上回る都市規模と相まって、これまでの生産拠点としての魅力だけでなく、市場としての魅力も高まってきている。社会の高度成長に伴い、市民の生活レベルも向上し、健康・美容に対する関心や食品に対する安全性の要求が高まってきている。となると、健康志向、安全志向が世界一進んでいる日本食による中国市場開拓の可能性も高まることが予想される。日本食の海外市場展開に対する国内の積極的な気運をとらえ、今般上海市場における日本食展開の現状と問題点、今後の見通しなどをまとめてみた。

2 日本食販売状況概要
中国の食品市場への外資参入については、日本からはグリコなど菓子会社、キリンやサントリー、アサヒ飲料など飲料会社、キッコーマンなど調味料会社、ハウス食品などレトルト食品会社などが進出し、日本生産品と同様の商品を現地工場で生産し、上海市場に投入している。
また、吉野家、ミスタードーナツなどの外食チェーン店グループの進出も見られ、日本食料理店は市内に200店舗以上存在する。しかしいずれも食材の大部分が国産である。
一方で、ごく少数の食品の貿易権を持つ企業が、ディスカウントされた食品(菓子・飲料が中心)を日本で仕入れ、上海市内有名店舗に投入している例が見られ、この分野が中では市場開拓が進んでいると言えよう。
また、米や日本酒などの上海への輸入販売については、現時点では現地駐在日本人をターゲットに絞ったもの、あるいは高品質を求める一流ホテルへの販売のみに特化したものが主流であり、数量的には少ない。
日本風食品が全体的に増えている状態であるが、中国人が本物の日本産食品と触れる機会は少ない状況である。よって日本食に対する正しい見解を持つ機会も少ない。
3 各店舗販売状況調査結果
上海市内スーパー、百貨店など各店舗において日本食の販売状況調査を行った。結果は以下のとおりであった。




 4 問題点と今後の展望
日本食が市民権を得ており、日本料理店が大盛況、日本食の輸入も多い香港と比較すると現在の大陸部市場はまだまだ問題点が多い。
大まかに言って①関税と通関手続きの問題②高所得者数と意識の問題③流通事情の問題がある。
①関税については、中国への農産物輸入には25%、加工品には20%の関税がかかり、その分価格に跳ね返るということがある。また税関の通関業務対応時間が香港に比し短く(最近対応時間を延長しているが)、商品の到着から実際の通関まで2日~5日要する。さらには、輸入品には生産日付や工場所在地など明記したシールを添付せねばならず、その手続きに数か月前から準備が必要となる。
②一般食材として(現在の比較的高価な)日本食が購入可能な高所得者数となると、上海でも絶対数が少ない。その上一般向けのスーパーなどには本物の日本食がないことなどから、情報に接する機会がほとんどない。
③中国国内の流通網は徐々に整備されてきているが、冷温輸送や定温輸送などの設備などはまだまだ未整備で、生鮮などの輸入には大きな問題がある。
今後の展望としては、経済成長によるさらなる生活レベルの上昇、WTO加盟に伴う中国側許諾事項の実施による関税引き下げ、インフラ整備などを踏まえ、現存する諸問題の解消を期待しながら、本物の日本食についての情報発信に努める必要がある。中国人に「日本食」=「健康、美容、安全」という意識付けができれば、市場開拓可能性は飛躍的に高まる。
展示会出展は中国におけるビジネス展開において重要な戦略の一つではあるが、現在、上海において輸入食品を展示できる見本市としては、FHCがある。今年は9月16日~19日に開催され、日本をはじめ、韓国、台湾、タイ、マレーシア、アメリカ、イタリア、スペイン、オーストラリアなどの出展があった。また輸入食品メーカーや卸売り、小売企業などにより構成される上海市輸入食品企業協会もブース出展。総数551の企業が出展し、来場者は13,186人であった。2004年は9月14日~17日に開催される予定である。

福井県上海事務所 藤井昌和
2003年11月

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