中国、上海市眼鏡市場の現状について

 1 中国における情報収集・提供活動の強化について
 県では、中国をはじめとする東アジアの国・地域での県内企業の販路開拓を支援するため、平成16年3月、東アジア・マーケット開拓戦略プランを策定しました。
 この中で、県内企業に対する具体的な支援をまとめたフォローシステムを記載していますが、その一つに中国における情報収集・提供活動の強化があります。
 今回は、県上海事務所の駐在員が中国および上海市の眼鏡市場について、上海市眼鏡協会(正式名称:上海百貨商業行業協会鐘表眼鏡専業委員会)の胡東芳秘書長と意見交換を行いましたので、その概要を基にマーケットの現状について最新情報を含めて紹介いたします。


2 上海市眼鏡協会との意見交換概要
(1) マーケットの現状 

 上海眼鏡市場の近年の発展は目ざましく、市内の眼鏡販売店も80年代の38店から現在は1千店強という状態になっている。うち呉良材、茂昌の直営店が40店舗余り、市郊外のチェーン加盟店が90店舗余り、紅星の直営店が40店舗、加盟店が70店舗、日本のパリミキは市内、郊外にチェーン店を91店舗、美式眼鏡はチェーン店25店舗、現代観点は同19店舗、上海東方眼鏡は加盟店を70店舗構えている。国際的に有名なメーカー、ブランドの販売本部も上海に集結している。市内の昨年の年間販売額は10億元ほどであり、東アジア最大の眼鏡消費地である。
 当該委員会に新規加入した、あるいは加入を希望する企業も年々増加しており、市場への参入についてアドバイスを求めてくる企業も増えている。

(2) 眼鏡市場の動向について 

 上海市には260万人の高齢者がおり、眼鏡業界にとってはそれだけでも大きな市場があるといえる。上海眼鏡業界には(主にこの高齢者をターゲットとして)日本の価格均一ショップに形式をまねた「100元眼鏡ショップ」の展開に発展可能性を見出す業者がいる。
 上海市眼鏡協会としては、度数だけを測って消費者に簡単に安い眼鏡を購入させることは、眼を傷つけることになる可能性があり、消費者の不利益につながると考えている。
 商品の品質と技術力、サービスに対する高い要求に応えられる体制をつくり、その上で「100元眼鏡ショップ」を展開することについては可能性があると感じている。

(3) 中国の眼鏡販売店の利益について 

①眼鏡枠、サングラス
 中国の一般の正規工場が製造した眼鏡枠やサングラスの店舗販売の場合、店舗側の粗利は90~100%。例えば工場から店舗への卸値を100元とすると、販売価格は概ね190元となる。もし仕入量が多いあるいは買い取り方式にする場合は卸値の交渉により店舗側はさらに利益をだすことができる。
 中国有名ブランドの製品の場合は、店舗側粗利率は概ね30~40%となる。
 生産を委託する場合は、買い取り方式かつ一定数量を確保することが求められる。ゆえに店舗側は利益を生み出す可能性も大きいがリスクも大きくなる。
 イタリアブランド眼鏡の2割引の価格が2888元でも、仕入価格は400元を超えないという噂が販売店間にあるが、これは輸入されていない偽物であるか、あるいは正規のルート以外で輸入した物を処分していると考えるべきである。 

②眼鏡レンズ
 眼鏡枠、サングラスと比較して複雑な市場であり簡単にまとめられないが、国際的ブランドの場合、概ね販売店の粗利は仕入れ価格の2倍から3倍とされ、利潤を得る手段としては有効。 

③コンタクトレンズ関連
 販売店の粗利は一般的に30~40%程度


(4) 上海の大型店舗、有名店舗のコストについて

①商品コスト
 仕入れ資金、在庫確保用資金や保管費、補償費、銀行利息など。現在は眼鏡も流行の変化が激しくなり、在庫がすぐに大量発生する危険性があり、経営を圧迫している。

②店舗賃借料
 家賃は異常な高騰状態であり、一般的な70㎡の店舗の年間家賃は70万元、月間光熱水費は3000元程である。繁華街にある店舗では、例えば南京路の有名なビル内店舗では60㎡の店舗で年間家賃は240万元、しかも毎年契約更新という状態になっている。 

③研修費用
  眼鏡は専門性が高く、技術やサービスの要求も高いため、販売員も検眼師も資格(証書)を得るための研修を受け審査に合格することが必要になる。初級から高級までの技術士だと1人2000元程度必要になり、店長に対する研修の場合は1人2~4万元必要になる。 

④社員給料等
 他の業種に比較し給料は高めで、販売員の平均給料は1000元以上、検眼士なら1500元から2000元以上、さらにボーナスが必要となる。 

⑤設備等
 コンピューター検眼器が一台7~10万元、他にレンズカッターが6万元、焦点調整器が5万元。よい店は輸入物の検眼器を使用している(20万元かかるとのこと)。 

⑥サービスコスト
 検眼については、普通検眼が1回10元、検眼士検眼が1回20元だが上海の店舗では顧客には無料で行っている。ちなみにアメリカでは検眼は1回30~50米ドル、香港では1回700香港ドルと言われている。


(5) これからの福井県産眼鏡の中国市場進出について

 上海市眼鏡協会では、市内の眼鏡売上高について年に一度全体データを集計する程度だが、ブランド製品、特に日本の企業が製造するブランド品の売上が多いのは常々感じている。
 福井県産眼鏡の中国上海市場開拓に関してポイントになるのは、(ⅰ)品質のよさ、(ⅱ)知名度、(ⅲ)市場の好感度。
 福井県産眼鏡ならば(ⅰ)品質については全く問題ないが、(ⅱ)知名度については現状では低いと言わざるをえない。今後福井県産眼鏡が市場開拓をしていくためには、(ⅱ)の問題解消法として、1つには有名ブランドの商権を手に入れその付帯商品として眼鏡を販売する方法、あるいは地道に時間をかけて販売網を広げて、市場への浸透を待つ方法しかない。
 その上で(ⅲ)の有無が成功の鍵を握る。ブランド商品と高機能の新商品が同じ価格であれば、当然のように消費者はブランド商品を選ぶ。その法則を覆すような好感度を得られる機能を付加することが必要である。
 また、実際の販売面では、店舗内の販売員への対応も重要である。確かに、販売員は消費者に対する商品紹介窓口であり、彼らにどれだけ自社製品の魅力を理解してもらうかが大事であろう。


(6) 眼鏡業界にかかる最新情報

①生産許可書制度について
現在中国国内で眼鏡生産を手がけ、国内販売に取り組む企業に対し、生産許可書の取得を義務付けることになった。2500社と言われる眼鏡生産企業が一斉に取得に取り掛かっている。今後はこの生産許可書を取得していない企業が製造した製品は中国内の店舗で販売できなくなる。万が一販売した場合はその店舗に対して罰金などの処分が下る。なお生産許可書は5年間有効となる。

②上海眼鏡協会について
胡氏が所属する鐘表眼鏡専業委員会が、上海百貨商業行業協会傘下団体から独立し、眼鏡分野に特化した上海市眼鏡協会として独立する。上海市経済委員会の協力を得て現在設立登記準備中であり、役員、事務所所在地も変わる。3か月後くらいの設立を目指している。

  

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福井県上海事務所 藤井昌和
福井県産業労働部
企業立地・マーケット戦略課
2004年4月

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