中国内最新制度状況について(その1)

 WTO加盟による許諾事項実施期限(2004年12月11日)が目前に迫っている現在、中国の法制度改正の動きが活発化しており、進出企業の経済環境にも影響を及ぼし始める状態になっております。
このレポートは先月の業務帰国の際に、皆様からご照会をいただいた案件を中心に現時点の制度等について状況を報告するものです。
なお、中国側も現在は試行錯誤の段階であり、今後さらに制度内容が変動する可能性があることをご了解いただきたいと存じます。
<Q>外資商業分野の開放状況はどのようなものか。
<A>以下のような状況となっております。
■根拠法等
「外商投資商業領域管理弁法」が2004年6月1日より施行され、小売業務に従事する外商投資商業企業、卸売業務に従事する外商投資商業企業の設置が認められております。同弁法には12月11日より独資商業企業の設立を認可し、地域制限を取り消すと明記されております。すでに進出済みの商業企業以外の外資企業が小売業務、卸売業務に従事する場合も同弁法に基づき相応な経営範囲の変更を行うことが必要です。
■資本金等
外商投資商業企業設立のための最低資本金は小売業が30万元、卸売業が50万元です。外商投資商業企業として経営範囲に輸出入業務を含めることが可能となりますが、輸出による増値税還付が認められる、すなわち増値税領収書発行が認められる「一般納税義務者」の資格を設立当初から得るためには、登録資本金500万元かつ従業員数50人以上という用件を満たす必要があります。設立後は年間の実際の売上高が180万元を超えると申請により6か月間の検収期間を経て「一般納税義務者」と認定されます。
■認可について
なお認可は、原則として会社設立予定地の商務部主管部門(初歩審査を行い、書類整備後1か月以内に商務部へ上申)を経由し、北京の中国商務部で行われます(上申後3か月以内に許可の是非を決定)。なお、小規模かつ制限品目の販売を行わない場合は当該地域の商務主管部門により審査と許認可を行うことができます。
■現状
12月11日から独資商業企業設立申請が受け付けられるということで、まず模様眺めをと考える企業が多い中、比較的小規模な日系企業や合弁企業において商業企業設立申請への具体的な動きが出ているようです。中には業態も様々であり認可の是非が分からないまま突き進んでいる案件もあるようですが、競争が非常に厳しい上海市場へ挑戦するために、積極的アプローチを仕掛けているといえます。
<Q>中国内企業の貿易権開放状況について最新の動きはどのようなものか。
<A>以下のような状況になっております。
■根拠法
「対外貿易法(主席令・第15条)」が改正され、2004年7月1日より新法が施行されています。今回の対外貿易法改正のポイントは、従来許可制であった貿易行為が届出制に変更されたことです。
■申請先、申請方法
外貿易経営者登録を希望する法人・個人経営責任者は、所在地の登録・登記機関(原則として、対外貿易経済部門)に以下の書類を提出すれば、受理後5日以内で登録が完了することとなっています。
■必要書類
申請書、営業許可証副本、組織機構番号証明書副本、(外資企業の場合は)外商投資企業批准証書副本、(個人経営者の場合は)公証機構が発行した財産公証証明、(外国企業の在中機構の場合は)資本信用証明
■状況等
「対外貿易経営者登録・登記表」には、以下の内容の注記があります。
「営業許可証の経営範囲に輸入商品の販売業務を含まない場合、登録・登記機構は、備考欄に“輸入商品の販売は行わない(無進口商品的分銷業務)”と明記しなくてはなりません。従って、営業許可に流通業務(小売・卸売)が含まれていない場合、仮に商品を輸入したとしても、中国国内販売ができない為、制度上は意味が無い行為となります。
以上のようなことを鑑みると、実際に流通業務の営業許可を得ている企業以外に登録している企業はそれほど多くないと思われます。
<Q>進出企業(現地法人)が様々な困難を克服し、中国内でも利益を上げられる状態に落ち着き、その利益の一部を出資者である日本国内の親会社に還元したい場合どのような方法が考えられるか。
<A>以下のような方法があります。
(1)配当利益について
■内容
中国内公司の営業許可証の経営範囲に、「利益については出資額に応じ外貨送金可能」である旨が記載されている場合、配当利益として外貨送金が可能です。公司の最終利潤が確定した後、税および法定準備金を残した額が上限となります。なお、上記送金可能額は独資の場合で利潤全体の約80%まで、合弁の場合は設立時に薫事会で決定する事項となっています。
■手続、所要期間等
公司の薫事全員の署名が必要です。実例として2003年12月末に確定した利潤が送金できるのは、書類が順調に整備されても6月頃からとなっているようです。またその書類も税理士や会計士による作成が必要です。
■その他
また、①公司内の残存外貨がまず送金用に充てられる②設立からの累積で利潤が出ないと送金できない(赤字企業から送金できない)ということにも注意が必要です。なお上記実例では、毎月バランスシートを管轄工商局に提出しているとのことです。
(2)技術使用料について
■内容
日本の親会社から中国内子会社に技術者が派遣され、その技術者の指導の下に特殊加工製品等が中国市場で販売される場合、親会社と子会社の間で技術使用料(ロイヤルティー)契約を結ぶことにより、親会社に利益の一部を還元することができますが、その上限は現時点で売上高の0.3%とされている状態です。
■手続等
当該契約を締結の際は対外貿易合作委員会で承認を受ける必要があります。当該委員会で承認を受けた後、外貨管理局で送金について承認を受け、銀行で送金することになります。
■その他
現時点で技術使用料認定額が実情に比し著しく低いため、各進出企業の課題となっているのが現状です。企業の中には、技術者の給料や出張旅費等を技術使用の対価の一部として管轄の対外貿易合作委員会に申請し、承認を受けているところもあるようです。

<Q>中国内のテレビショッピング等特殊な販売形態の普及状況と外資参入についてはどのような状況か。
<A>以下のような状況です。
■現況
テレビショッピングについては長時間の専門放送枠を設けるチャンネルもあるほど一般化しておりますが、ここ5年で業者数が半減し売上も200億元から40億元程度に減少しているという報道もあります。一方でインフラ整備進展や所得レベル上昇を踏まえ、特に大都市において大型外資参入案件も見られます。こうした新規参入企業は生活に余裕があり、流行に敏感で、健康に気を使う20代から30代の女性をターゲットとして、戦略設定、商品選定に力を注いでいます。
インターネットショッピングについては、現在約7000万人とも言われる中国のインターネットユーザーの約4割が同サービスを利用していると言われ、米大手企業の参入等外資も積極的に進出しております。
なお、訪問販売については米大手企業がセミナー開催等で会員を増やし、当該会員に対する栄養補助食品や化粧品などの販売する形で販路開拓に成功しており、年間約20億元の売り上げがあると言われております。
■今後の見通し
12月11日からの商業分野の開放により、上記で取り上げた形態についても日本独資企業の参入が可能となりますが、いずれも北京の中国商務部の許認可が必要ですので、多額の投資が必要などハードルは高いと推測されます。本県の企業としてはこうしたサービスにおけるコンテンツ提供に可能性が見出せるものと思われます。

中国内最新制度状況について(その2)

 前回レポートした「中国内最新制度状況について」に関連した新しい動き、制度の一部改変などがありましたので、追加情報としてお伝えします。
(1) 外商投資商業企業の申請状況について<上海>
・申請を始める企業が非常に増えています。特に資本金5億円程度の企業を設立しようとしている中堅企業が多いようです。
・新制度が実施されましたが、担当者が増えたわけでなく、これまでの企業登記担当が引き続き対応しているようです。実質担当業務増であり、工業関連など一般企業の登記手続きが遅くなるなどの影響が出ないか心配する方もあります。また外商投資商業企業の場合はF/Sの審査にかなり時間がかけられるようです。
・制度ができたばかりで、当局もガイドラインがまだ定まっていない部分があり、申請受け付けまでにかなり時間がかかりそうです。ある申請者が担当者から聞いた話では「認可まで半年位必要になるだろう」と言われたとのことです。
(2)  外商投資商業企業の一般納税義務者認定資格緩和について
・前回のレポートで、「輸出による増値税還付が認められる、すなわち増値税領収書発行が認められる『一般納税義務者』の資格を設立当初から得るためには、登録資本金500万元かつ従業員数50人以上という用件を満たす必要があります」と報告しました。この要件があるため、外商投資商業企業が認可されても、一般納税義務者に認定されるまで仕入れ分の増値税を自己負担せねばならないなど当該企業に不利益が生じる状態が予想されました。
・これが12月1日付けの国家税務総局通知(新設商業貿易企業の増値税徴収管理強化の関連問題に関する補充通知)によれば、登録資本金500万元かつ従業員数50人以上という用件を満たさなくとも「一定の経営規模があり、固定の経営場所があり、相応の経営管理人員を有し、貨物売買契約または税務機関の審査を経て一般納税人として認定し、一般納税人指導期間管理を実行することができる」となりました。
・中国の法制度らしく「一定の経営規模」「相応の経営管理人員」など、内容がまだ明らかになっていない部分も多いですが、少なくとも外商投資商業企業の負担が減る道が開かれたと言えるでしょう。
(3)訪問販売関連の追加情報について
以下のような情報が出ておりましたのでお知らせします。
12月11日に予定されていた直販法の発表が遅れている。これに関して、商務部の『権威者』が、「重大な調整を進めているためだ」とした。当初の方針以上に、規制が緩和される可能性が高まってきた。20日付で新華社が伝えた。9月に福建省・厦門(アモイ)市で開かれた直販法座談会では、商務部外資司のトウ湛・副司長は、「直販を申請する企業が年商5億元以上、国際直販協会あるいはその支部に所属していなければならないなどハードルが考えられているが、このようなハードルは少ないほうがよい」と強調している。そのため、「年商5億」といった制限は、直販法に盛り込まれない公算が高い。また、保健関連、ハウスクリーニング関連の商品は、無店舗販売が許可されるとされている。
これまで中国では、アムウェイやエイボンなどが営業していたが、無店舗販売は許可されていなかった。そのため、新しい直販法により、これらの企業がアメリカや日本で推進してきたディストリビュータによる販促活動が、一斉に始まる可能性がある。さらに、新しい直販法では、販売管理者やインストラクターは企業の正規従業員でなければならないが、ディストリビュータは労働契約を結ぶ必要はないとされている。ただし消費者保護のため、企業はディストリビュータ本人の行為に責任があると証明できた場合を除き、トラブルに関してディストリビュータと連帯責任を持つことになる。また、ディストリビュータへの報酬は、商品価格の25%、場合によっては30%までに制限される模様。さらに、企業の登録資本金は8000万元以上で、(政府部門に)2000万元以上の保証金を納める必要があるという条項には変化がない見込み。
日本を含めた先進国でも、ネットワークビジネスに対する警戒心は根強い。しかし、ネットワークビジネスの利点として、流通経費を減らし本社のスリム化を実現することにより、高品質の製品を比較的安価に消費者に提供しやすいということがある。また、投機性を低減することにより、社会に受け入れられやすいビジネスモデルを提示する企業も出始めている。
中国が、直販法の緩和に踏み切った理由の一つに、ネットワークビジネスの世界的な流れが「賭博」から「薄利多売」に移行しつつあるという判断があるようだ。しかし一方、ネットワークビジネスが受け入れられるためには、契約の絶対的尊重、ディストリビュータに対するしっかりとした管理システムなどが不可欠だとされる。つまり、ネットワークビジネスを含む直販ビジネスの健全性を担保するためには、経済がかなりの程度成熟していなければならないという見方が多い。
中国政府がもっとも恐れているのは「ネズミ講」あるいは「マルチ商法まがい」の横行だ。ただし新華社は、ディストリビュータへの報酬が25%あるいは30%という制限があるため、中国における直販ビジネスは、ネットワークビジネスではなく、「単層販売」が主流になるだろうと予測している(サーチナ12月20日報道から抜粋)

福井県上海事務所 藤井昌和
2004年12月

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