上海からの観光客誘致について

 1.中国人観光旅行事情
一般的に中国人の日本観光は、ビザの関係で団体旅行に限られています。また、80万円以上と言われている保証金を旅行会社に預ける必要があり、最低賃金が一か月一万数千円の中国においては、日本への観光旅行は一部の富裕者に限られたステータスといえます。しかしその中で、日本への海外旅行客は年々増加の一途をたどっており、その数は年間100万人に達すると言われております。昨年、日本からハワイに出かけた日本人が135万人ですから、相当のレベルにまで達している印象があります。
2.「上海発日本行」
上海の新聞では毎日のように旅行代理店の広告ページを目にします。日本ツアーは、次のように紹介されております。
価格帯は5~6日滞在で6,000元~9,000元が主流のようです。旅行代理店によると企画するツアーの90%以上は東京、大阪を中心とした人気コースとのこと。「大阪京都箱根東京5泊6日」といった弾丸ツアーも珍しくありません。「せっかく日本に行くのだから一度に全部」という旅行者の心理が反映されているのでしょうか?特に国慶節のような大型連休時には、ツアー価格設定の高い順に売切れていくそうです。
3.日本観光に見られる変化
徐々にではありますが、地方も人気が出てきたそうです。九州、北海道コースの人気が高まり、福島も紅葉と温泉を武器にして、東京とのタイアップコースで集客を活発化させています。富山アルペンルートは、上海での地道な広報活動が実を結んでおり、募集したツアーが売り出し後3日間で完売したとのこと。これは、日本旅行リピーターの増加を表しています。「やはり都会で買い物もしたいが、行ったことがない場所にも行きたい」とリピーターの声が「東京大阪プラスワン」ツアーを生んでいるのだと思います。
また、大型連休に集中していた海外旅行が子供の長期休暇(夏2か月、冬1か月)にシフトし始めているというのも見逃せない傾向です。やはり子供を優先するお国柄が表れています。来年以降、大型連休の見直しも取沙汰されていることもあり、「家族での日本旅行」が今後のドル箱になる可能性を秘めています。
4.ところで福井は
福井には温泉や海の幸山の幸が数多く揃っているにもかかわらず、観光地としての知名度はまだまだ低いのですが、大きな可能性があります。それは、「大阪、京都から近く、スキーも温泉も楽しめる」という特長です。
まず、旅行者にとって東京、大阪のどちらかは外せません。また、旅行代理店にとっても、成田便や関空便は便数が多く価格も安いのでツアーを組みやすいと言います。ならば、「大阪京都を楽しんでいただいて、福井にお立ち寄りいただく」次のような旅行プランを持って代理店担当者の意見を聞いてみました。
初日      … 上海⇒関西空港          大阪市内観光                           【大阪泊】
二日目    … 大阪市内観光            京都市内観光                           【京都泊】
三日目    … 京都市内観光             福井観光(東尋坊・藤野厳九郎記念館)    【福井泊】
四日目    … 福井でスキー 温泉どっぷり                                       【福井泊】
五日目    … 小松空港⇒上海
担当者に興味はもってもらいました。「大阪プラスワン」「家族旅行」という必要条件を満たし、「子供のための学習旅行」という側面もあるからだと思います。
5.来るか温泉ブーム?
これはおまけですが、高度成長の真っ只中で中国人もやはり「癒し」を求めています。多忙を極める上海の中国人ビジネスマンが「日本の田舎の風景を見ながら温泉につかって癒されたい」と言っていたことが忘れられません。台湾では温泉ブームが到来しており、温泉リゾートの開発や日本への温泉ツアーがちょっとした流行となっております。もし中国にも同じ温泉ブームが到来するとすれば、そのときは、是非福井の温泉で癒されて欲しいと思います。
上海の戦うビジネスマンにも癒しは必要!
6.今後について
前述の「富山アルペンルートツアー」は30人の募集だったそうですが、もし好評であれば、来年は倍になることでしょう。「口コミ」という宣伝媒体が有効な中国・上海では、とにかく始めることが大事なのです。消費文化が目に見えて発達している上海では、今後観光ビザや保証金の制約が緩和されれば、一気に日本への旅行が爆発する可能性すら秘めていると思います。

2007年11月

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